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既存加盟店に2店舗目を出してもらうには?|FC多店舗化(メガフランチャイジー育成)の進め方

監修: 土田 俊(FCコンサルタント)読了目安 約 11
既存加盟店に2店舗目を出してもらうには?|FC多店舗化(メガフランチャイジー育成)の進め方

※記事内で紹介している事例は、私たちが支援してきた実例や公開情報をもとに特定企業名を伏せて執筆しています。

フランチャイズの加盟開発というと、つい「新しい加盟店をどう増やすか」ばかりに目が行きます。でも、いちばん確実で、いちばん安い出店方法は、実はもっと足元にあります。すでにいる加盟店に、もう1店出してもらうこと。前回までの記事(加盟店の集め方アテンド(店舗視察))でも、「最も確実なのは既存加盟店の多店舗化」と繰り返しお伝えしてきました。今回は、その本丸を取り上げます。

1店舗で成功したオーナーに、2店舗目、3店舗目を出してもらう。さらにその先には、複数店を束ねる「メガフランチャイジー」へと育っていく道があります。これがうまく回り出すと、本部の成長は一気に加速します。

ただし、ここには落とし穴もあります。多店舗化は「店を増やす」話に見えて、実は「オーナーが経営者になれるか」「本部が組織づくりを支えられるか」という、もっと深い話だからです。この記事では、ベンチャー・リンク出身で全国の加盟開発を手がけてきた土田俊(FCコンサルタント)の監修のもと、多店舗化が強い理由から、向くオーナー、促す仕組み、声のかけ方、つまずきと本部の支援まで、順番に整理します。

なぜ「既存加盟店の多店舗化」が、最強の出店戦略なのか

新規の加盟店を一から開拓するのと、すでにいるオーナーに2店舗目を出してもらうのとでは、本部の負担も成功率もまるで違います。理由は3つです。

開発コストが、圧倒的に安い。 新規の加盟希望者をゼロから集めるには、広告費も、何度も追いかける手間(追客の工数)もかかります。一方、すでにあなたの本部のやり方を知っているオーナーなら、説明はほとんど要りません。「もう1店」のハードルは、新規開拓とは比べものにならないほど低いのです。

成功する確率が、高い。 これはオーナー側のメリットでもあります。1店舗目を苦労して立ち上げ、業態の仕組みを体で理解した人にとって、2店舗目は「成功体験の再生」です。まったくの新規事業を一から立ち上げるより、はるかに容易で、確実な収益事業に育てやすい。本部にとっても、失敗の少ない出店が積み上がります。

メガフランチャイジーが、本部を一気に伸ばす。 複数店を回せる力を持ったオーナー(メガフランチャイジー)が育つと、その1社が次々と店を増やしてくれます。出店スピードが上がり、業界での存在感(ブランド力)を短期間で築く原動力になります。新規開拓が「点」を増やす作業だとすれば、多店舗化は「面」で伸ばす作業なのです。

どんなオーナーが、多店舗化に向くのか

とはいえ、すべての加盟店が多店舗化に向くわけではありません。大前提として「1店舗目できちんと儲かっている」ことは欠かせませんが、それだけでは足りません。見るべきは、その先の「意欲」と「資質」です。

会社として成長したい、という意欲。 「本業だけでは頭打ちなので、新しい収益の柱がほしい」「FC事業を第二の創業として、会社を大きくしたい」。こうした明確な成長ビジョンを持つ法人は、自然と多店舗化に向かいます。

次の世代を育てたい、という動機。 FC事業を単なる金儲けではなく、後継者や若手社員に「一店舗の責任者」として疑似的な経営を経験させる場と捉えている経営者。こういうオーナーは、組織として腰を据えて店を増やしていきます。

そして、いちばん大事な資質。 多店舗化すると、社長はもう全店の現場に立てません。だからこそ、経営者が業態の本質を深く理解していて、なおかつ店長を信頼し、任せられること。これが多店舗化を成功させるオーナーの絶対条件です。逆に、自分が現場のプレイヤーであり続けたいタイプの人は、どんなに1店目が優秀でも、多店舗化には向きません。ここを見誤ると、後で苦しくなります。

「もう1店どう?」では動かない|仕組みで自発を引き出す

向いているオーナーが見つかっても、本部が口で「もう1店いかがですか」と頼むだけでは、なかなか動いてくれません。大事なのは、オーナーが自分から出したくなる「制度(インセンティブ)」を用意しておくことです。代表的なものを整理します。

本部の担当者が既存オーナーに2店舗目の制度を提示して相談しているイラスト

仕組み内容ねらい
加盟金・初期費用の優遇2店目以降は加盟金を半額程度に。小型店なら追加の加盟金なしで出せる、など増店の金銭的・心理的ハードルを下げる
出店資金の援助・融資2店目以降を出すオーナーに、本部が出店資金の一部を融資・援助する資金面の不安を取り除き、踏み出しやすくする
エリア優先権・ドミナント前提同一エリアへの集中出店を前提に、最初から複数店の枠をセットで優遇するはじめから多店舗を見据えてもらう

ポイントは、「頑張ったオーナーが報われる」設計にすることです。1店目で結果を出した人ほど得をする仕組みがあれば、オーナーは次の一歩を踏み出しやすくなります。

ただし、ここには本部としての注意点が二つあります。ひとつは、エリア優先権や資金援助は、裏を返せば後々の出店余地を狭めたり、貸したお金を回収できないリスクを抱えたりする、ということ。だからこそ、条件・期間・解除の事由を、契約上はっきり決めておく必要があります。もうひとつは、こうした優遇を、特定の有力オーナーと個別の「裏取引」で約束しないこと。「あの会社だけ加盟金ゼロらしい」と後から漏れれば、ほかのオーナーの不信感が一気に噴き出し、チェーンの結束が根こそぎ揺らぎます。優遇措置は、最初から多店舗展開規程などの規約として明文化し、全員にオープンにしておく。これが、本部への信頼と健全な競争を守る絶対のルールです。

いつ、どう声をかけるか

多店舗化は、早ければいいというものではありません。タイミングと、声のかけ方。この二つで結果が変わります。

タイミングは、1店舗目が「回りきってから」。 立ち上げ初期に、まだ1店目が安定しないうちから多店舗化を迫るのは禁物です。日々の数字(日次決算)がきちんと回り、スタッフの教育も定着し、そしてロイヤリティを払ったあとでも営業利益率で10〜20%程度の利益が残っている。ここまで来てはじめて、2店舗目の話が現実味を帯びます。さらに踏み込むなら、売上だけでなく、オーナーが現場に張り付かなくても店長が数字(月次の利益)を説明できるか、採用や教育の型ができているか、QSC(品質・サービス・清潔さ)の水準が安定しているか、借入の返済後でもキャッシュが残っているか。ここまで見てから声をかけると、より確実です。土台が固まる前に背伸びをさせると、両方の店が共倒れになりかねません。

声のかけ方は、「儲かるから」ではなく「あなたの目的のために」。 ここがプロの腕の見せどころです。単に「儲かるからもう1店どうですか」と勧めても、響きません。そうではなく、まずオーナーの「3年後、5年後、会社をどうしたいか」を聞く。後継者を一人前の経営者にしたい、本業の力をつけたい。そうした経営課題を一緒に確認したうえで、「その目標を実現する手段として、2店舗目は収益にも幹部育成にもなりますよ」と提案する。相手の目的から逆算するから、響くのです。

多店舗化で、つまずく典型パターン

多店舗化を焦って、体制が整わないまま店だけ増やすと、思わぬところで崩れます。よくある失敗を知っておきましょう。

優秀な店長を、引き抜きすぎる。 1号店のエースだった店長を、2号店・3号店をまとめる統括役に引き上げる。一見よさそうですが、ここに罠があります。「名選手、必ずしも名監督にあらず」。プレイヤーとして優秀でも、マネジメントは別の能力です。しかも元の店は手薄になり、全体のサービスレベルが落ちる。さらに怖いのは、その先です。一人のエースに、新店の立ち上げもスタッフ教育もシフト管理も、わずかな手当だけで背負わせてしまう。その結果、キーマンが過労とプレッシャーで突然辞め、1号店から3号店までが連鎖的に同時崩壊する。これは、駆け出しのメガフランチャイジーが最も陥りやすい自滅パターンです。これを防ぐには、1店舗目のうちから「次の店長」を計画的に採用し、育てておく組織づくりが欠かせません。

任せきりにして、コントロールを失う。 「地元で力のある会社だから」と、特定の大きな加盟店にエリアの展開も管理も丸投げしてしまう。すると、本部の理念やルールが行き届かなくなり、加盟店の脱退やトラブルにつながります。任せることと、放任することは違います。

経営者が、現場に無関心になる。 「仕組みを買ったのだから、あとは店長に任せておけばいい」。オーナーがこの姿勢になると、スタッフは何のために働くのかを見失い、サービスの質が崩れ、ブランド全体を傷つけます。

これらに共通するのは、多店舗化の本質が「店を増やすこと」ではなく「店を回せる組織を作ること」だという点です。

本部は、何を支えるべきか

オーナーをメガフランチャイジーへと育てるには、本部の側にも、ただノウハウを渡すだけではない「伴走」が求められます。

オーナー会で複数の加盟店オーナーが成功事例を共有し学び合っているイラスト

複数店を回す技術を、教える。 1店舗の運営と、複数店の経営は別物です。人材の管理、複数店の収益管理、チームのまとめ方。こうした「複数店マネジメント」の手法を、本部のSVが直接指導します。

会社の未来図を、一緒に描く。 オーナーを単なる多店舗オーナーからメガフランチャイジーへ引き上げるには、目先の出店だけでなく、その会社の中期的な経営計画づくりに伴走することが効きます。「3年後に何店、5年後にどんな規模に」という将来像を共有しながら支える。

オーナー同士が、学び合う場をつくる。 これが意外に強力です。オーナー会やフォーラムのような場を本部が主導して定期的に開き、全国の成功事例や失敗事例を共有してもらう。すると、各オーナーが刺激を受けて自発的に改善を始めます。ただし、ここにも落とし穴があります。本部の統治がゆるいまま、ただオーナーを横でつなぐだけだと、オーナー会は高め合う場ではなく「本部への不満を言い合う場」に化けてしまいます。伸びるチェーンのオーナー会は、本部が厳格にアジェンダをリードし、感情論ではなく「数字で裏づけられた成功事例」をシェアし合う場に徹しています。一人の天才に頼るのではなく、加盟店全体が学び合って伸びていく。この「集合天才」とも呼べる文化が育つと、チェーン全体が強くなります。

まとめ

  • 既存加盟店の多店舗化は、最も確実でコストの低い出店戦略。新規開拓と両輪で回す
  • 向くのは、1店目で儲かったうえで、会社としての成長意欲と「店長に任せて経営者になれる資質」を持つオーナー
  • 「もう1店どう?」と口で頼むより、加盟金優遇・資金援助・エリア優先といった仕組みで自発を引き出す
  • タイミングは1店目が回りきってから(営業利益率10〜20%が残る状態)。声かけは相手の会社のビジョンから逆算する
  • つまずきは、店長の引き抜きすぎ・丸投げ・経営者の無関心。本質は「店を増やす」より「組織を作れるか
  • 本部は、複数店マネジメントの指導・中期経営計画の伴走・オーナー会(集合天才)で支える

多店舗化を促すうえで、本部のいちばんの武器になるのは、オーナーに「2店舗目を出したら、会社の数字がどう変わるのか」を具体的に示せることです。漠然と「儲かります」ではなく、数字で見せられるかどうか。

店舗拡大計画AI「VentureGrow」は、直営拡大・自社FC化・他ブランド加盟の3シナリオごとに、自社の情報や業態特性をもとにAIが前提条件を整理し、2店舗目を含む標準的な店舗収支や投資回収、本部採算の試算案を作成するツールです。既存オーナーへの提案材料として、まずは自社の数字を叩いてみてください。

なお、そもそもの加盟店の集め方はフランチャイズの加盟店はどう集める?を、直営拡大・自社FC化・他ブランド加盟という拡大の方向性そのものは3つの道の違いと選び方もあわせてどうぞ。


※ 複数店の加盟契約やエリア権(テリトリー)の設定に関わる事項は、最終的に弁護士などの専門家の確認を受けることを推奨します。

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この記事の監修者

本ブログは、ベンチャー・リンク出身のフランチャイズコンサルタントである山田文彦・土田俊の知見をもとに、記事テーマごとに監修体制を組んで作成しています。

山田 文彦 - 株式会社ディーノシステム 代表取締役 / 元ベンチャー・リンク

株式会社ディーノシステム

代表取締役

山田 文彦

元ベンチャー・リンク幹部。フランチャイズやライセンスビジネスのパッケージ構築から加盟店開発、経営指導まで、チェーン全体の経営サポートを牽引。飲食・サービス・物販など幅広い業態の多店舗展開を支援。

土田 俊 - 株式会社ディーノシステム FCコンサルタント / 元ベンチャー・リンク

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FCコンサルタント

土田 俊

元ベンチャー・リンク。現在も良きフランチャイズビジネスを探し求め、FC開発を全国で行う数少ないFC開発のプロフェッショナル。全国各地のマルチ・メガフランチャイジーとのネットワークを持つ。

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