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FC契約書で注意すべき点|加盟前に必ず確認したい主要条項とトラブルの落とし穴

監修: 土田 俊(FCコンサルタント)読了目安 約 10
FC契約書で注意すべき点|加盟前に必ず確認したい主要条項とトラブルの落とし穴

※記事内で紹介している事例は、私たちが支援してきた実例や公開情報をもとに特定企業名を伏せて執筆しています。

加盟店の集め方から、店舗視察(アテンド)、そして多店舗化まで見てきた加盟開発シリーズも、いよいよ最後の関門にたどり着きます。契約です。どんなに良い関係を築いても、最後にハンコを押すのは契約書。ここを軽く見ると、後で必ず痛い目を見ます。

FC契約で、いちばん見落とされがちなこと。それは、多くの人が「始める条件」ばかりを見て、「やめる時の条件」を読んでいないことです。中途解約はできるのか、違約金はいくらか、辞めた後に同じ商売をしてはいけない期間はあるのか。ここを読まずに契約してしまうと、いざというときに身動きが取れなくなります。

この記事では、ベンチャー・リンク出身で全国の加盟開発を手がけてきた土田俊(FCコンサルタント)の監修のもと、加盟前に必ず確認したい主要な条項、トラブルになりやすい落とし穴、法定開示書面との関係、そして加盟する側・本部側それぞれの心得を整理します。

※ 本記事は一般的な実務の考え方を解説するもので、法的なアドバイスではありません。実際の契約内容の判断は、必ず弁護士などの専門家にご相談ください。

FC契約とは|「ブランドとノウハウを使う権利」と引き換えの約束

まず、FC契約が何を定める契約なのかを押さえておきましょう。

フランチャイズ契約とは、本部(フランチャイザー)が加盟店(フランチャイジー)に対して、自社のブランド(商標・チェーン名)と、経営のノウハウをまとめた「フランチャイズパッケージ」を使う権利を与える契約です。加盟店はその対価として、加盟金やロイヤリティを払い、自分の資金を投じて、本部の指導・援助を受けながら事業を行います。

ここで大事なのは、本部と加盟店は、あくまで別々の独立した事業者だということ。出資もリスクも、基本的には加盟者が自己責任で負います。だからこそ、その「継続的な関係のルール」を細かく定めた契約書は、両者にとっての取扱説明書であり、いざというときの拠りどころになるのです。

加盟前に必ず確認したい、主要な条項

FC契約書には、こまかな条項がずらりと並びます。そのなかでも、事業の成否やリスクに直結する主要なものを、まず一覧で押さえましょう。

契約書の条項を一つずつ慎重に読み込んで確認している店舗オーナーのイラスト

条項何を見るか注意点
契約期間と更新期間(5年・10年など)、自動更新か双方合意か、更新料の有無短すぎると初期投資を回収できず、長すぎると途中でやめにくい
中途解約と違約金期間中にやめられるか、やめる場合の違約金「やめられない」「高額な違約金」が設定されていることが多い
ロイヤリティ・諸費用計算方法、システム利用料や販促費などの諸経費、値上げ条項ロイヤリティ以外の費用や、本部が改定できる条項を見落としがち
テリトリー権近隣に本部や他の加盟店が出店しない取り決めの有無なければ近くに同じ看板が出て、客を奪い合う恐れ
競業避止義務契約終了後、同業を禁じられる期間・範囲「やめた後しばらく同じ商売ができない」ことがある
指定仕入れ本部や指定業者からの購入義務市価より割高でも、原則ほかから仕入れられない
商標・ノウハウの使用範囲ロゴ・マニュアル・レシピの使える範囲指定された店の運営以外での使用は固く禁じられる
契約終了後の義務看板撤去・原状回復・マニュアル返還これらを自分の費用で行う義務がある

とくにテリトリー権は、いまの時代ならではの注意が要ります。近年は、物理的な店舗の出店だけでなく、本部がEC直販やデリバリー(ゴーストレストランなど)のチャネルで、既存店の商圏に入り込んで顧客を食い合うトラブルが増えています。契約書に「店舗の出店は制限するが、ネット販売やデリバリーは本部の自由」と書かれていることもあります。ネット上の商圏はどう守られるのか、売上がぶつかったときの補償ルールはあるのか。ここも必ず確認してください。

一つひとつは当たり前に見えても、組み合わさると「思っていたより自由がきかない」となりがちです。とくに次の章の内容は、契約前にじっくり確認してください。

いちばん大事なのは「やめる時の条件」

繰り返しになりますが、FC契約で最も見落とされ、最ももめるのが「出口」、つまりやめる時の条件です。始めるときは誰もが前向きなので、つい「どう始めるか」ばかりに目が行きます。でも、本当に効いてくるのは、うまくいかなかったときや、事情が変わったときです。

具体的には、次の三つをセットで確認します。

  • 中途解約できるか、できるとしたら違約金はいくらか。 多くのFC契約では、期間の途中で加盟店の都合でやめることを認めていないか、認めても高額な違約金がかかります。違約金は「直近の平均ロイヤリティ×残りの月数」といった形で計算されることがあり、額が大きくなりがちです。たとえば5年契約で、月々のロイヤリティが30万円だったとします。1年で業績不振により撤退するとなると、残り4年分、つまり30万円×48か月でおよそ1,400万円が一括で請求される、という計算になります。赤字を止めたくて閉めたはずなのに、手元には数千万円規模の負債だけが残り、個人オーナーが自己破産に追い込まれる。その最大の引き金が、この違約金です。「撤退にかかるコストの重さ」を、入る前に天秤にかけておく必要があります。
  • やめた後、いつまで同業ができないか(競業避止)。 本部のノウハウが流出しないよう、「契約終了後も一定期間(たとえば2年など)は、同じ・似た商売をしてはならない」と定められていることがあります。次の仕事の幅に直結します。
  • やめる時に、何にいくらかかるか。 看板や内外装の撤去、原状回復は、たいてい加盟店の自己負担です。閉店にもお金がかかる、ということを織り込んでおく必要があります。

「出口」を理解してから入る。これだけで、後の苦しさはずいぶん減ります。

トラブルになりやすい、3つの落とし穴

契約書には、知らないと足をすくわれる「落とし穴」がいくつかあります。代表的な三つを挙げます。

「売上は保証しません」という免責条項。 本部は勧誘の段階で、収益のシミュレーションを見せてくれます。ところが契約書には、ほぼ必ず「本部は売上や収益を保証しない」「加盟者が自らの判断と責任で事業計画を作成した」という趣旨の条項が入っています。つまり、想定どおりの売上が出なくても、本部に責任を問うのはとても難しい。シミュレーションは「約束」ではない、と理解しておくべきです。

口頭の約束は、「完全合意条項」で無効になる。 契約書のなかに、「この契約書に書かれていること以外の、口頭・書面でのいかなる約束も無効とする」という条項(完全合意条項)が置かれていることがあります。すると、営業担当者の「近くには絶対に出店させません」「この立地なら絶対に儲かります」といった口約束は、契約書に書かれていなければ法的な効力を持ちません。大事な約束は、必ず契約書に書いてもらうこと。これが鉄則です。

あまりに高すぎる違約金は、後で減ることもある。 中途解約や競業避止違反の違約金が、実際の損害に比べてあまりに高額な場合、裁判で「公序良俗に反する」として無効や減額になるケースもあります。とはいえ、そこまで争うこと自体が大きな消耗です。やはり、契約前に内容を確認しておくのがいちばんです。

法定開示書面と、契約書の関係

FC契約には、契約書とは別に「法定開示書面」という大事な書類が関わってきます。

中小小売商業振興法(の対象となる「特定連鎖化事業」)に該当する本部には、契約を結ぶ前に、この法定開示書面を交付して、内容を説明する義務があります。ここには、加盟金やロイヤリティといったお金のこと、テリトリー権の有無、競業避止義務、中途解約の条件など、契約に関わる重要な情報が網羅されています。さらに令和3年の中小小売商業振興法施行規則の改正により、対象となる本部には、加盟希望者が検討している立地と条件が類似する加盟者店舗の直近3事業年度の収支に関する情報などの開示も求められるようになりました。

ひとつ注意したいのは、契約書と開示書面で内容が食い違っている場合、そのまま契約すると後で大きな争点になりうるという点です。開示書面で安心せず、重要な条件は必ず契約書本体にも反映されているかを確認してください。最後は契約書本体を、すみずみまで読み込むことが欠かせません。

加盟する側・本部側、それぞれの心得

最後に、契約に向き合うときの心構えを、両方の立場から整理します。

契約書を持参して弁護士など専門家にリーガルチェックを依頼している店舗オーナーのイラスト

加盟する側へ。 まず、前述の「出口の条件」を必ず理解すること。そしてもう一つ、契約書は必ず持ち帰り、弁護士などの専門家にリーガルチェックを依頼することです。契約条項は多岐にわたり、なかには一方的に不利なものが紛れていることもあります。日本フランチャイズチェーン協会では、会員向けの自主基準として、契約締結にあたって7日間以上の熟考期間を確保することとしています(法律上すべての本部に一律で課された義務ではなく、協会の自主基準です)。その場の勢いでサインしない。これに尽きます。

本部側へ。 加盟者を集めたい一心で、根拠のない「誰でも月商これくらい」「絶対に失敗しません」と言ってしまうのは禁物です。これは独占禁止法上の「ぎまん的顧客誘引」にあたるおそれがあります。売上の見通しを示すなら、類似店の実績など合理的な根拠とセットで。あわせて、法定開示書面は契約の直前ではなく、相手が十分に検討できるタイミングで交付・説明すること。そして、説明資料や面談記録、質問への回答をきちんと残しておくこと。この地味な記録が、後の「言った・言わない」から本部を守る、最大の盾になります。そしてもう一つ。「完全合意条項があるから、口約束は無効にできる」と高をくくるのは危険です。あまりに事実とかけ離れた誇大な説明(不実告知)や強引な勧誘があった場合、裁判では契約書の免責を飛び越えて、本部の責任が問われることがあります。完全合意条項は、万能の盾ではありません。

まとめ

  • FC契約は、本部のブランドとノウハウを使う権利と引き換えに結ぶ「継続的な関係のルールブック」
  • 主要条項は、契約期間・更新/中途解約・違約金/ロイヤリティと諸費用/テリトリー権/競業避止/指定仕入れ/使用範囲/終了後の義務
  • いちばん大事なのは「やめる時の条件(出口)」。中途解約・違約金・競業避止を理解してから入る
  • 落とし穴は、売上非保証の免責条項/口頭約束を無効化する完全合意条項/高すぎる違約金
  • 法定開示書面で重要事項を確認しつつ、最後は契約書本体を読み込む(食い違えば契約書が優先されやすい)
  • 加盟側は弁護士のリーガルチェックを、本部側はぎまん的な勧誘を避け、適切な開示と記録を

ここまで見てきたとおり、契約の良し悪しは、結局のところ「その条件で、加盟店も本部も、ちゃんと続けていけるか」に行き着きます。とくにロイヤリティや収支の条件は、ハンコを押す前に、数字で成り立つかどうかを確かめておきたいところです。

店舗拡大計画AI「VentureGrow」は、直営拡大・自社FC化・他ブランド加盟の3シナリオごとに、自社の情報や業態特性をもとにAIが前提条件を整理し、店舗収支や投資回収、本部採算の試算案を作成するツールです。契約条件を詰める前の「数字の土台づくり」に、まずは自社の数字を叩いてみてください。

なお、契約の前提となるロイヤリティの考え方はFCのロイヤリティは何%が適正?を、加盟開発の流れ全体はフランチャイズの加盟店はどう集める?もあわせてどうぞ。


※ 本記事は一般的な実務の考え方を解説するものであり、法的なアドバイスではありません。FC契約や法定開示書面など法務に関わる事項は、最終的に弁護士などの専門家の確認を受けることを推奨します。

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この記事の監修者

本ブログは、ベンチャー・リンク出身のフランチャイズコンサルタントである山田文彦・土田俊の知見をもとに、記事テーマごとに監修体制を組んで作成しています。

山田 文彦 - 株式会社ディーノシステム 代表取締役 / 元ベンチャー・リンク

株式会社ディーノシステム

代表取締役

山田 文彦

元ベンチャー・リンク幹部。フランチャイズやライセンスビジネスのパッケージ構築から加盟店開発、経営指導まで、チェーン全体の経営サポートを牽引。飲食・サービス・物販など幅広い業態の多店舗展開を支援。

土田 俊 - 株式会社ディーノシステム FCコンサルタント / 元ベンチャー・リンク

株式会社ディーノシステム

FCコンサルタント

土田 俊

元ベンチャー・リンク。現在も良きフランチャイズビジネスを探し求め、FC開発を全国で行う数少ないFC開発のプロフェッショナル。全国各地のマルチ・メガフランチャイジーとのネットワークを持つ。

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