VentureGrow ロゴ|店舗拡大計画 AI

店舗拡大の8割が失敗する理由|陥りがちな4つの落とし穴と見極め方

監修: 山田 文彦(元ベンチャー・リンク幹部)読了目安 約 11
店舗拡大の8割が失敗する理由|陥りがちな4つの落とし穴と見極め方

※記事内で紹介している事例は、私たちが支援してきた実例や公開情報をもとに特定企業名を伏せて執筆しています。

直営で3店、5店と増やしてきた。次は10店、いずれは自社FC化も視野に入ってくる。そんなふうに次の一手を考え始めたとき、ふと「本当に踏み切っていいんだろうか」と手が止まる。そういうご相談を、本当によくいただきます。わかります。ここまで来たからこそ、慎重になりますよね。一度アクセルを踏むと、なかなか止まれない世界でもありますし。

最初に、ひとつだけ誤解を解かせてください。「店舗拡大の8割は失敗する」とよく言われますが、これは「会社が潰れる」という意味ではありません。日本の企業は、起業から5年後も約8割が生き残っています(中小企業庁の調査でも、5年後の生存率は80.7%)。みなさん、意外としぶといんです。

ただ、ここで大事なのが、「生き残ること」と「拡大に成功すること」は別物だということ。1〜2店舗をていねいに回す力と、20店舗を同じ品質で回す力は、まったく違います。ここが重なって見えてしまうと、知らないうちに無理が積み上がっていく。品質が崩れ、本部が疲れ、最後は撤退に追い込まれてしまう。そんな「拡大のつまずき」を、私たちは数えきれないほど見てきました。だからこそ、先回りしてお伝えしたいことがあります。

この記事では、ベンチャー・リンク出身のコンサルタント監修のもと、店舗拡大でつまずきやすい4つの落とし穴を、できるだけ具体的に整理します。そして最後に、「このまま拡大して大丈夫か」を自分で見極めるためのチェック項目までご用意しました。一緒に確認していきましょう。

なぜ店舗拡大の8割は失敗するのか?

拡大というのは、つきつめると「成功の再現」です。でも、最初の1店舗がうまくいった理由って、案外オーナーさん自身でもうまく言葉にできないことが多いんです。たまたま立地が良かったのか。店長さんの人柄なのか。それとも、誰がやっても同じようにうまくいく「仕組み」があるのか。ここがふんわりしたまま店舗を増やすと、増えた数だけ悩みも増えてしまいます。

我々が蓄積したフランチャイズノウハウで見ても、拡大やFC化のつまずきは、たどっていくとほぼ一つの原因に行き着きます。店舗(や加盟店)が、ちゃんと儲かっていないこと。残念ながら、儲からない状態のお店をいくつ増やしても、それは赤字を増やしてしまうだけなんですね。

ちなみに、飲食・宿泊・サービス系は、開業も廃業も多い、入れ替わりの激しい業界です。つまり多くのオーナーさんは、そもそも「拡大の難易度が高い土俵」で頑張っている、ということ。だからこそ、つまずきポイントを先に知っておくだけで、ずいぶん変わってきます。

落とし穴は、大きく4つ。ひとつずつ、一緒に見ていきましょう。

落とし穴① 利益率が低いまま多店舗化する

いちばん多いのが、これです。根っこにあるのは、本部と店舗の「もうけ方」のミスマッチ。本部が指定する商材が高すぎたり、逆に在庫リスクを本部が抱えすぎたり。どちらかに負担が偏ったまま店舗数だけが増えていくと、気づかないうちに無理の総量も増えていきます。

店舗を増やすほど利益が流出し、赤字が積み上がっていく様子のイラスト

この先に待っているのは、だいたい2つのパターンです。ひとつは、店舗が利益を出せないままロイヤリティや広告費を払い続け、やがて不満が限界に達してしまうケース(集団離反や訴訟に至ることもあります)。もうひとつは、店舗を守ろうと本部がリスクを抱えすぎて、売上が落ちた瞬間に本部の資金が回らなくなるケース。どちらも、できれば避けたいつらい結末です。

たとえば、低価格を武器に急拡大した、ある宅配系チェーン(数十〜数百店舗規模)。出店を急いだ結果、1店舗あたりの売上が下がり、店舗側が在庫を抱え込むようになりました。それでも本部は広告費を求め続け……と、悪循環に陥ってしまったんです。利益が出ない状態で店舗を増やすほど、痛みは大きくなってしまいました。

お伝えしたいのは、シンプルなことです。単店がきちんと黒字になっていれば、増やすほど力になる。でも、そうでないなら、増やすほど赤字も増えてしまう。 だから、焦らなくて大丈夫。まずは1店舗の黒字化から。遠回りに見えて、これがいちばんの近道です。

落とし穴② 標準化が追いつかず、品質がブレる

「マニュアルはちゃんとありますよ」というオーナーさんは多いです。ただ、そのマニュアルが現場で本当に使えるレベルになっているかは、また別の話なんです。職人的な技術が前提になっていたり、ルールブックがいくつも増えてしまっていたり。「誰がやっても同じ結果が出る仕組み(単純化・標準化・専門化)」が整っていないと、人が増えた瞬間に品質がばらけてしまいます。

新人さんやアルバイトさんの教育が追いつかず、店舗ごとに接客や提供時間、品質に差が出る。ここが少し怖いところで、お客様は「その1店舗」ではなく「チェーンというブランド」を信頼して来てくれています。だから、たった1店舗の質の低下が、チェーン全体の信頼に響いてしまうんですね。

たとえば、5年で店舗数を3倍に伸ばした、あるイタリアン系チェーン(数百店舗規模)。現場の教育が成長スピードに追いつかず、作業効率や品質にばらつきが出てきました。結果として、急いで全社的な「標準化プロジェクト」を立ち上げ、後追いで整える形に。拡大してから慌てて標準化する、という順番は、どうしてもコストも負担も大きくなってしまいます。

もうひとつ、別業態の例も。あるドラッグストア系チェーン(数百店舗規模)では、業務概要のマニュアルと作業詳細のマニュアルが分かれ、新システムを導入するたびに「○○ガイド」「△△ルールブック」が増えていきました。現場からすると「探しづらいし、使いづらい」。情報はあるのに、使われない。これも、よくある標準化のつまずきです。

落とし穴③ SVが育たず、本部コストだけが膨らむ

ベンチャー・リンク時代から何度も見てきたのが、「5店舗の壁」です。社長さん一人が直接目を配って面倒を見られる限界は、だいたい5店舗くらい。ここを超えると、社長の代わりに店舗を支えるSV(スーパーバイザー)の存在が欠かせなくなります。

本部を中心に多数の店舗が連なり、外側の店舗ほど統制が弱まっていくハブ&スポークのイラスト

ところが、これがなかなか難しいんです。正直なところ、中小企業がコンサルタント級の優秀なSVを自社でどんどん育てるのは、ほぼ不可能に近い。プレイヤーとして優秀な店長さんをSVに抜擢しても、マネジメントはまた別のスキルなので、現場とすれ違ってしまうことがある。外部からベテランを迎えても、今度は「自社らしさ・理念」がうまく伝わらない。みんな、ここで一度は悩みます。

そして、ここで逆方向に踏み込んでしまう本部も少なくありません。SVが足りないから、と早い段階で大きなITシステム投資に走ってしまうケースです。気持ちはわかるのですが、これだと本部のコストだけが先に膨らみ、肝心の店舗支援は手薄なまま……ということになりがちです。

ぜひ覚えておいてほしいのは、SVの本当の役割です。ルール違反を取り締まる「チェック係」ではなく、店舗の売上と利益を一緒に伸ばす「経営の相談相手」。こういう人を社内で育てるのか、外から迎えるのか。その見通しが立ってからでも、拡大は決して遅くありません。

落とし穴④ 出店ペースと資金力が、噛み合わない

最後は、スピードの話です。立地を十分に見極めないまま出店のペースだけを上げてしまうと、1店舗あたりの売上(日商)が下がり、不採算のお店が少しずつ積み上がっていきます。

かつて、ある大手コンビニ系チェーン(数千店舗規模)が、店舗網を広げることを優先し、年間出店数を200店から500店近くまで一気に増やしました。けれど平均日商が下がり、最終的には約500店もの不採算店を一斉に閉じて、仕切り直すことになりました。「とにかく出せばいい」わけではない、という教訓ですね。

「地域本部」に頼った急拡大も、似た形でつまずきがちです。ある学習塾系チェーン(数百店舗規模)は、地元の有力者を地域本部に立てて短期間で店舗を増やしました。ただ、地域ごとの物価や教育レベルといった実情をあまり考慮せず、講師の給与や教材を全国一律にしてしまった。やがて各地でひずみが表面化し、地域本部や教室の離脱・トラブルが相次いでしまったんです。

それから、FC展開は「加盟店の資金で出店できるからローコスト」と思われがちですが、実はその逆なんです。マニュアルや契約書の整備、システム構築、人材採用といった本部機能を立ち上げるには、まとまった先行投資が必要になります。資金の余力がないまま走り出すと、計画が少し狂っただけで本部のほうが先に苦しくなってしまう。だからこそ、無理のないペース配分が大切です。

店舗拡大に踏み切る前に|失敗を避ける5つのゲート

ここまでの落とし穴は、裏返すとそのまま「拡大していいかの判断基準」になります。アクセルを踏む前に、次の5つを正直にセルフチェックしてみてください。1つでも「うーん、怪しいかも」と感じたら、それはダメ出しではなく、次に取り組むテーマが見つかった、というサインです。

拡大に踏み切る前に通るべき複数のチェックゲートを示したイラスト

  1. 再現性:その成功は「偶然」ではないか? 1店舗の繁盛だけでは、「店長の能力」や「たまたまの立地」という偶然を否定しきれません。業界の目安では、直営3店舗を2年間継続、あるいは最低でも3店・できれば5店以上の成功体験があって、はじめて「再現できるモデル」と言えます。異なる立地・条件でも黒字化できるか。まずはここから確かめてみましょう。

  2. 収益性:取り分を払った後も、店舗は儲かるか? 店舗側がロイヤリティ等を支払った「後」でも、十分に利益が残るビジネスモデルか。ここが成り立っていないと、拡大した途端に不満が噴き出してしまいます。落とし穴①の裏返しですね。

  3. 標準化:誰がやっても同じ結果が出るか? 現場で本当に使えるマニュアルになっているか。単純化・標準化・専門化が効いていて、新人さんでも一定の品質を再現できるか。

  4. 本部体制:「5店舗の壁」を超えるSVの目処はあるか? 社長の属人管理から、「他の人が支える体制」へ移れているか。店舗の売上・利益を一緒に伸ばせる(チェック係ではない)SVを、社内で育てるか外から迎えるか、その算段が立っているか。

  5. 資金:「小さく始めて、大きく育てる」計画か? 最初から100店舗を想定して数千万円規模のシステム投資を行うような過大な先行投資は、計画が狂った瞬間に本部の足元を崩しかねません。3店、5店と増えるのに合わせて段階的に投資を引き上げる、身の丈に合った計画になっているか。

この5つは、バラバラのようでいて、実はつながっています。再現性のないお店を、標準化もSVもないまま、大きな投資で増やしてしまう。つまずく本部は、たいていこれが重なっています。逆に言えば、ひとつずつ整えていけば、拡大の足場は確実に固まっていきます。

まとめ

  • 5年後も約8割の企業は「生き残る」。だが「生き残ること」と「拡大に成功すること」は別物
  • 拡大でつまずく4つの落とし穴は、①低利益率のまま増店 ②標準化不足 ③SV不在と本部コスト肥大 ④出店ペースと資金力のミスマッチ
  • 拡大の前に見極めたいのは、再現性・収益性・標準化・本部体制・資金の5つのゲート

勘や勢いだけで動くのではなく、この5つを一度しっかり確認してから踏み出す。たったそれだけで、防げるつまずきは本当にたくさんあります。とはいえ、自社のことを5つの視点で冷静に見るのは、当事者であるほど難しいものですよね。店舗拡大計画AI「VentureGrow」は、まさにこの「このまま拡大して大丈夫か」を、直営拡大・自社FC・多ブランド加盟の3シナリオで定量的に比べるためにつくりました。よかったら、まずは無料登録して、判断材料の一つに使ってみてください。


※ FC契約書や法定開示書面など法務に関わる書類は、最終的に弁護士のリーガルチェックを受けることを推奨します。

参考2023年版「中小企業白書」第2節 起業・創業(中小企業庁)

店舗拡大の事業計画から実行までAIがサポート

VentureGrow なら、本記事で紹介した内容を AI と対話しながら無料で整理できます。8 軸評価・3 シナリオ比較・事業計画づくりまで、まずは無料からお試しください。

無料登録

登録 1 分 / AI 相談はずっと無料 / クレジットカード不要

この記事の監修者

本記事は、ベンチャー・リンク出身のフランチャイズコンサルタント 山田・土田の監修で作成しています。

山田 文彦 - 株式会社ディーノシステム 代表取締役 / 元ベンチャー・リンク

株式会社ディーノシステム

代表取締役

山田 文彦

元ベンチャー・リンク幹部。フランチャイズやライセンスビジネスのパッケージ構築から加盟店開発、経営指導まで、チェーン全体の経営サポートを牽引。飲食・サービス・物販など幅広い業態の多店舗展開を支援。

土田 俊 - 株式会社ディーノシステム FCコンサルタント / 元ベンチャー・リンク

株式会社ディーノシステム

FCコンサルタント

土田 俊

元ベンチャー・リンク。現在も良きフランチャイズビジネスを探し求め、FC開発を全国で行う数少ないFC開発のプロフェッショナル。全国各地のマルチ・メガフランチャイジーとのネットワークを持つ。

関連記事

戦略

人手不足でも店舗を増やすには|多店舗化を支える省人化・採用・定着の仕組み

監修: 山田 文彦(元ベンチャー・リンク幹部)

人手不足倒産が過去最多のいま、店舗を増やして大丈夫か。多店舗化でつまずく人材の課題、人に依存しない仕組みの作り方(実装の手順・期間・コストまで)、そして今、拡大すべきかの判断基準を、FC本部構築の知見をもとに現場目線で解説します。

続きを読む
戦略

直営拡大・自社FC化・他ブランド加盟|店舗拡大3つの道の違いと選び方

監修: 山田 文彦(元ベンチャー・リンク幹部)

店舗拡大には直営拡大・自社FC化・他ブランド加盟(メガフランチャイジー)の3つの道があります。初期投資・拡大スピード・利益率・リスク・必要な本部体制の違いを比較し、自社にどれが合うかを5つの判断軸で見極める方法を、FC本部構築の知見をもとに解説します。

続きを読む